教育:教育実習生の心構え

教室

教育実習の多くは5~6月に実施される。教職を志す学生にとってはここから試練の時期だ。おそらく今は、大学でガイダンスが行われ、各所属学校に連絡をとり準備をし始めている時期であることだろう。教育実習は、教師を目指す学生にとって、プロとして教壇に立つ前の最初で最後の練習の機会。プロの教師になるためのエッセンスを教育実習で全て学ばなければならないのである。立派な教師になるため、心して取り組んでほしいものだ。

来年度教育実習を行う学生は、大学や所属学校から基本的な事項や注意事項を既に聞いていると思うが、そういう場面ではあまり説明されない部分の、心がけるべきことがいくつかある。

■授業見学は教師を見るより子どもを見よう
教育実習開始最初の数日は教壇に立つわけではなく、所属学級や担当教師の授業見学をすることになる(希だが、ない場合もある。)。授業見学はどうしても教師の立ち振る舞いが気になってしまいがちであるが、それよりも子どもの実態把握に努めよう。その学校で教えている教師は、4月5月を経過した上で授業に臨んでいるからそのような立ち振る舞いになっているのだ。だが教育実習はいきなりその学校に行くことになる。その違いを埋めるため、子どもの実態をなるべく早く掴むことが大切なのである。具体的には、教師がどういう発問を行ったときにどの生徒がどのような解釈を行うのか、どういう思考のプロセスでどのような答えを導き出しているのか、子どもがどのような人間関係を構築しているか、などを掴むことだ。全体把握が無理ならば、自分で1人の抽出児童・生徒を決めて、授業中にどのような行動をとっているのかをじっくり観察してみるのだ。そうすることによって、実際に自分が授業を行うことになった際、授業づくりのとっかかりとなるはずだ。

■1時間の授業のポイントを見極めよう
授業を構成するにあたって必ず存在するのが、1時間の授業内における「目標」だ。ベテラン教師になればなるほど目標数は少なく、それに肉付けしていく形で授業が進み、まとまった授業構成となる。おそらく学習指導案をまとめる際、実習生に求められるのは目標の細分化。それは、授業案においては文章のみでの構成となるから、担当教師への説明のためどうしても可視化が必要になるためである。だがそれは、あくまで授業案上の形式的なもの。実際にまとまりのある授業を作り上げるには、大きな目標1つに絞り、その目標に向かって肉付けする形で設問や説明を付け足していくのが効果的。授業見学の際にも、担当教師が本当の目標を何に設定しているのかを考え、探るのが、授業がうまくなっていくコツだ。

■学習指導案は授業を行う1週間前には担当教師に提出を
実習生の指導案は未熟だ。どんなに自信があっても必ず穴がある。担当教師に尋ねれば、何が不足しているか、何が余計なのか指摘してくれることだろう。しかし実習は、実習生の勉強期間でもあるわけだから、本来であればその過不足を自分で考えられる期間があった方がいい。一度しっかり指導案を作り上げた上で、熟成させて授業に臨もう。また、担当教師は実習生の面倒を見るためだけにいるのではない。他の仕事をこなしつつ実習生の指導にあたっている。つまり、実習生のいる期間、担当教師は通常より仕事量が多くなっている状態なのだ。余計な負担をかけさせないためにも、早め早めの準備を心がけよう。

■休み時間の過ごし方
実習生は2~4週間の中で満足した授業をこなせるようにならなければならない。そのとき大いに助けてくれるのが、何より子どもたちの存在。休み時間はどうしても授業プリントの印刷や実習ノートのまとめ、教材の準備などに費やしたくなるが、本当に必要なことだけを手短に行い、ぐっとこらえて教室に乗りだそう。そして子どもと雑談するのだ。会話の中から子どもの嗜好を把握し、コミュニケーションをとって人間関係を構築しよう。そうすることで、いざ授業を行ったときにスムーズに授業展開できるようになる。良い授業を行うため、子どもを味方につけるのだ。子どもの実態を把握するのはなにも授業中だけではないことを覚えておこう。自分から機会を作ることも必要である。

■事前に小話をたくさん用意しておこう
実習期間中にホームルームや学級活動を任されることがある。この機会が与えられたら大チャンス。担当教師はホームルームになどおける実習生の姿を見て、どれだけ時間をうまく使いながら自分をアピールできているのか、場を仕切ることができているのか、その才能を見ているのだ。ホームルームを任されたときは実習生の独壇場で構わない。リーダーシップを存分に見せ付けよう。提出物の配布や返却は早く切り上げて、自分の話で教室を盛り上げよう。さらに、信頼関係を構築することでそれが授業中にも生きてくる大きなメリットがある。

■授業は大声で
当たり前のことだが、大きな声で授業を行わないと教室の後ろまで声が届かない。自分が思っている以上に大きな声を出さないと、意外と声は届かないものだ。喉から声を出すと早々に潰れてしまうので、腹から声を出すことを心がけよう。ところが、大声で授業をしないといけないとわかっていても、緊張や不安、子どもたちから予想外の質問を受けたときなどに、素人故にどうしても忘れがちになってしまう。授業を行うときには「大声」を必ず念頭に置いておいてほしい。

■実習ノートの提出
実習ノートは、各学校あるいは各担当教師が定めた期間内に提出しなければならない。おそらく1日で提出しろという担当教師は希で、3日~1週間くらいずつの提出が目安になっていることと思う(事前によく確認を。)。期間を過ぎての提出は論外。必ず期間内に提出を。そして肝心の中身であるが、内容は[発問内容]-[子どもの発言]-[それに対する実習生の見解(=子どもの思考プロセスの推察)]という三点構成が望ましい。もし内容を学校や担当教師が指定してきていたのならばそれに素直に従うのが当然であるが、何も指定がないならばこの構成でいくべきだ。というのは、これは授業研究においてプロが行う手法のため。その気になればこの構成で論文も書ける。その授業内においての問題点が明らかになりやすく、また逆に優れている点も見付けやすい。授業目標の達成度合いも明確になりやすい。せっかくならプロの手法を真似しよう。

■実習が終わったら
各大学が定めている方針に従おう。基本的には担当教師と学校に向けたお礼状が必須。併せて、お礼の品を渡すのも良い。実習終了の2週間以内にはお礼を完了させよう。また、完成した実習ノートを大学へ提出しなければならないことになっているはずだ。大学によっては、そのノートを使いながら、会議形式や報告会形式で事後指導が行われる場合がある。教育実習の余韻が残っている内にしっかりノートを整理しておくことが大切だ。こまめに大学構内の掲示板をチェックして、事後指導の予定を把握しよう。

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そのほかにも注意すべきポイントはいろいろある。例えば、実習生どうしで話している姿をあまり子どもに見せないこと。子どもにとって実習生は、あくまで「学校の外」の存在。その学校の外の存在どうしが仲良くしているところを見せ付けてしまうと、子どもは実習生に話しかけにくくなり、コミュニケーションの機会を失うことになる。担当教師が出張などで学校不在になる日があるかもしれないから、担当教師の日程の把握も必要。部活動や委員会活動を見ることになる場合もあるため、ルールや指導方針の把握も必要。頭髪や服装を準備するのも実習生としての重要な仕事の一つだ。実習期間中になると、忙しさのあまりいろいろなことに目が向きにくくなりがち。事前に何をすることが必要なのかをよく考え、準備し、充実した実習生活になるよう努めよう。

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赤松 伊織
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豊受真報編集長、赤松伊織です。読者の皆様に様々な情報をご提供できるよう精進してまいります。豊受真報をご愛読くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。