議論:学校給食の「牛乳」廃止についてどう思う?

牛乳

新潟県三条市教育委員会は、昨年6月30日、市内の小中学校全30校で、「牛乳」を給食の献立から外すことを決定した。米の生産一を誇る新潟県だけあって、学校給食はご飯食のみ、パン食は出ない。そのため「ご飯に合わない」を理由に牛乳が献立から外れることになってしまった。これについて賛否両論ある。

■給食で牛乳が出た始まり
牛乳が学校給食で出されるようになったのは戦後から。1949年に日本政府が脱脂粉乳を導入。このことは当時の「学校給食法」に明記されている。つまり法的根拠があった上で牛乳を出していたということだ。戦後日本が貧しく栄養価が偏りがちだったための配慮。そもそも学校給食が導入されたのが日本人の栄養摂取量の低さに起因している。当時の日本人の平均身長は160cm台。国策として取り入れられたのが脱脂粉乳だったのだ。1960年代に入り脱脂粉乳と牛乳の混合乳が登場。1966年には生乳100%の瓶牛乳が登場し、1980年代からはパック牛乳も登場。現在ではほぼ全ての学校がパック牛乳となった。振り返ると、戦後の国策として、じつに60年以上にもおよぶ歴史があるのが学校給食における牛乳だ。もはや学校給食における牛乳は、日本の伝統だ。これが廃止されていくのは日本人として心情的に辛いものがある。

■栄養バランス
牛乳200mlあたり、138カロリー、タンパク質6.8g、資質7.8g、さまざまなビタミンを含み、ナトリウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などの無機質も含む万能飲料だ。学校給食において適切な栄養を摂るために必要不可欠と言って良い。牛乳を超える栄養価をもつ他の飲み物が提供されるならば排除も納得できるが、おそらく存在しない。牛乳排除を決定した学校の栄養士は、必要な栄養価を献立に盛り込むために相当の苦労をしていることだろう。

■酪農家の現状
1つの学校で1日300本の牛乳が必要であるならば、300(本)×200(ml)×22(日)=1320(l/月)が必要。相当な量の牛乳が学校に供給されている。酪農家にとって学校給食は、安定した格好の収入源になっていることは間違いない。実は日本において一番牛乳が消費されているのが学校だ。もし学校で牛乳廃止を行ってしまうと、廃業せざるを得ない酪農家も出てくるはず。近年バター不足などが問題になっているが、これは日本の酪農家の減少(高齢化による)が主な原因。学校給食での牛乳廃止が原因でこれ以上酪農家が減ってしまうと、我々の生活にまで悪影響が出る可能性は非常に高い。

新潟県は結局、これらの理由により、給食とは別に「ドリンクタイム」を設けて牛乳の提供を継続している(義務ではなく、各学校の判断による)。学校から牛乳を消すことは社会の混乱を招き、子どもの発育の妨げになることが認められたからだ。新潟県の他にも牛乳排除を決定しようと動き出した自治体もあるという。「ご飯に合わない」だけを原因に学校給食から牛乳排除を実行してしまって良いのだろうか?徹底した議論が必要だ。

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赤松 伊織
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豊受真報編集長、赤松伊織です。読者の皆様に様々な情報をご提供できるよう精進してまいります。豊受真報をご愛読くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。